報告書の下書きと修正版、相手に送った契約書と戻ってきた契約書のように、ほとんど同じなのにどこかが違う2つの文書を目で照合するのは時間がかかり、見落としも起きがちです。テキスト比較ツールを使えば、変わった箇所を機械的にすべて見つけられます。この記事では、文書を比較するときの手順と注意点をまとめます。
この記事は比較作業の方法を説明するものであり、法律上の助言ではありません。契約内容の意味や効力は専門家に確認してください。
ステップ1:2つの文書をテキストとして取り出す
diff ツールが比較するのは書式ではなく文字です。ワープロのファイルで本文をすべて選択してコピーし、貼り付ければ十分です。このとき知っておきたい点があります。
- 書式は失われます。 太字、下線、フォント、色の変更は比較されません。書式の変更まで確認する必要がある場合は、ワープロ自体の比較機能(例:Microsoft Word の[校閲]→[比較])も併用してください。
- 表はセルの間がタブや改行に変わります。 2つの文書を同じ方法でコピーすれば同じ形になるので、比較には問題ありません。
- 脚注、ヘッダー・フッター、コメント、テキストボックスは本文のコピーに含まれないことがあります。必要に応じて別途コピーして比較します。
- 自動番号(1.、(1)、①)はコピーの方法によって抜け落ちたり、ただのテキストに変わったりします。条項番号が重要な場合は、両方とも同じ方法で取り出したかを確認します。
ステップ2:PDF からコピーしたテキストを整える
PDF はページ上に文字を配置する形式なので、コピーすると画面上の行末ごとに改行が入ります。 2つの PDF で改行位置が少し違うだけで、ほぼすべての行が変わったものとして表示されます。次の順序で整えると、結果がずっときれいになります。
- 両方とも段落内の改行を取り除き、1つの段落が1行になるようにします。
- 長い段落は文ごとに改行します(句点の後で改行)。1つの文の中の変更がその行にだけ現れるので、読みやすくなります。
- ページ番号やヘッダーのように、ページごとに繰り返される行は削除します。
- 空白が複数個でコピーされている場合は、比較オプションで空白の量を無視をオンにします。
ステップ3:比較の単位を選ぶ
変わった行を見つけたら、行の中でどこが違うかを示す単位を選びます。
- 文字単位:日本語の文書にはこれが基本です。日本語は単語の間に空白を入れないため、空白区切りでは段落や文がまるごと1つのかたまりになってしまいます。金額(5,000,000 → 5,500,000)、日付(1月 → 3月)、条項番号(第3条 → 第4条)のように1〜2文字だけ変わる箇所も正確に示せます。ただし長い文が大きく書き換えられた場合は、強調が細かく散らばってかえって読みにくくなることがあります。
- 単語単位:英文の文書や、数字と記号が混ざった文に向いています。
- 空白区切り:英語や韓国語のように単語の間に空白を入れる言語の文書に向いています。空白で区切られたかたまりを比較すると、「何が何に変わったか」が自然に読み取れます。
まず全体を行単位の変更箇所で確認し、文字単位で細かく見ていく方法をおすすめします。英文が混じる箇所は単語単位に切り替えると読みやすくなります。
契約書で特に確認したい箇所
変わった箇所をすべて見つけたら、次の項目に当たる変更はもう一度読み直してください。
| 項目 | 確認すべき変更の例 |
|---|---|
| 金額・代金 | 数字、単位(円/千円)、消費税の込み・別、支払時期 |
| 期間・期限 | 開始日・終了日、「以内」と「以降」、営業日と暦日 |
| 当事者 | 商号、代表者、住所、甲・乙の表記が入れ替わっていないか |
| 義務の強さ | 「することができる」↔「しなければならない」、「努める」↔「保証する」 |
| 責任・損害賠償 | 上限額、免責事由、遅延損害金の率 |
| 解除・解約 | 事由、通知期間、違約金 |
| 紛争解決 | 管轄裁判所、準拠法、仲裁条項 |
| 条項番号・参照 | 条項の追加・削除によって「第5条に従い」のような参照がずれていないか |
たとえば「乙は、毎月末日までに委託料を請求することができる」が「請求しなければならない」に変わると、わずかな文字の違いでも義務の性質が変わります。diff はこうした小さな変更を見落とさないようにしてくれます。
ワープロの変更履歴とどう違うか
Word の「変更履歴の記録」は、編集者が機能をオンにした状態で行った修正だけを記録します。相手が記録をオフにして修正したり、新しいファイルで作り直したりした場合は記録が残りません。テキスト比較は最終的な2つの文書さえあればよいので、誰がどのように修正したかに関係なく、実際に変わった文字をすべて示します。反対に、書式の変更や誰が修正したかといった情報はわからないため、2つの方法を併用するのが最も確実です。
機密性のある文書を扱うとき
契約書、人事書類、未公開の資料をオンラインツールに貼り付けるときは、その内容がどこに送られるのかを確認する必要があります。このサイトは比較をブラウザ内だけで処理し、入力内容をサーバーに送信しません。それでも、会社のセキュリティポリシーが外部ウェブサイトの利用そのものを禁止している場合は、ポリシーに従ってください。
このツールで試す
テキスト比較ツールのサンプルボタンを押すと、短い契約書の2つのバージョンが入ります。行内比較を文字や単語に切り替えながら、金額と日付がどう表示されるかを確認してみてください。結果バーの HTML ボタンで色付きの比較表をコピーし、メールや報告書に貼り付けることができます。空白オプションの違いは 空白無視オプションで、改行コードの問題は 改行コードと見えない差分でさらに詳しく扱っています。